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見聞録、市政報告などのブログです。

川崎市市民ミュージアムの視察

今日は、昨年10月の台風19号で水没した市民ミュージアムの内部を初めて議会に公開されることになり、文教委員会の皆さんと視察しました。
建物内部、特に約3メートル水没した地下の保管庫はカビが大量発生しており、人体に影響があるということで、全員、防護服とN95マスクを着用し、靴も履き替えるなど、厳重体制の視察となりました。
視察した箇所や内部の状況は、詳しくお伝えすることができませんが、洗浄や燻蒸など様々な処理を経て梱包されたものが保管されている場所や、燻蒸を行う場所等を回った後、問題の水没した倉庫を視察しました。
天井までビッシリとカビが張り付いている保管室、漆喰の壁や天井がボロボロと剥がれ落ちている保管室、床がグニャグニャになり、ベニヤ板を張り、足場を確保している保管室、幅3センチ以上ある鉄の扉が、水圧でねじ曲げられている保管室などを見学しました。しかし、あくまでも私たちが見学したのは、被災収蔵品の搬出がすべて終了し、清掃された状態です。
これまでも委員会で報告されてきた被災収蔵品やミュージアム内部の状況は、ある程度作業が進んだ状態のものがほとんどであり、一番悲惨な状況は、昨年から引き続き文教委員会に所属している私も見た記憶がありません。
昨年の台風後、何度もテレビ等の報道で流れた映像で印象的だったのは、なみなみと水を湛えたミュージアムの搬入口ですが、ここは保管庫に直結していることがよく分かりました。
今日、その入り口に立ち、未だに壁に残る水位の後を見ると、なぜ、こんな低い位置に、川崎市民の宝であり、財産である美術品や収蔵品が保管されていたのか。そもそも、昔は、多摩川だったといわれる場所に位置する等々力緑地に、なぜ美術館を建設したのか。30年前にその議論はなされなかったのか。各保管庫に水への備えがないことに、なぜ管理者や学芸員は疑問を持って市に対し提言してくれなかったのか。これまで委員会や議会で取り上げるたびに感じてきた「なぜ」が、現地を視察することで改めて蘇り、悔やまれてなりません。

今日初めて防護服とN95マスクを着用しました。
息苦しさと、N95マスクを装着していても臭ってくるカビや埃の臭いに気分が悪くなりそうでした。しかし、そのような中で、黙々と作業をしてくださっている専門知識をもったボランティアの方々の根気と、市民の財産である収蔵品を復元させたいという熱意には、頭が下がる想いでした。
ミュージアムの収蔵品は、コロナの影響で作業が中断していたこともあり、8ヶ月以上が経過した6月に、ようやく全ての収蔵品が救出された状況で、修復が可能なのかどうかの選別さえ出来ていないものが大半であることから、長期戦になることは想像に難くありません。そこで、作業にあたってくださっている方々が、少しでも作業の合間にホッとできる環境作りを検討できないものかとも考えさせられました。

その後、等々力緑地内の排水対策や、貯水池としての役割も期待できるとする「釣り池」と、そこに到るまでの排水管路の状況を視察しました。
7月16日に開催された委員会で、今日の視察までに報告することを要望していた多摩川の浚渫の状況等も、全く調べられておらず、また、前回の浸水被害原因は、等々力ポンプ場の雨水管路による内水氾濫が有力と考えられることから、雨水管路の対策についても再考するよう、会派の代表質問等でも指摘してきましたが、それらの進捗状況を尋ねても未回答のまま。
今年も既に台風シーズンを迎えてしまいましたが、二度と市内を浸水させない万全な対策は図られているのか、引き続き注視していきます。