中学部活動の経済的負担軽減を
タウンニュース 連載 53 平成29年8月18日号
6月議会では、中学校の部活動における活動費等予算の改善についても取り上げ、特に、運動部・文化部とはまた異なる枠組みで考えるべきではないかと考える吹奏楽部に着目し質しました。
夏祭りや地域のイベントなどで、演奏を披露してくれる中学校の吹奏楽部は、基本的に学校に整備されている楽器を利用しています。楽器の更新やメンテナンスは各学校に配分される、学校運営費の「備品購入費」から支出されますが、例えば、他の部活動で器物を破損してしまった場合の修繕費もここから支出されるため、楽器のように高価な備品は計画通りに購入することが難しく、結果として数年に一度購入やメンテナンスができるかできないかという事情を抱える学校が多いということです。そのため学校によっては入部の際に保護者に対し、事情を伝えたうえ、個人で購入してもらうことも多くあることがわかりました。
また吹奏楽部の場合、コンクールや大会の他に地域貢献としてイベントや小学校での演奏など校外に移動を伴う場合が多く、その都度、大型楽器や譜面台など多くの機材を動かす必要があります。1回の運搬費は安い業者に依頼しても数万円の負担がかかり、学校によって事情は異なるものの、部費やPTAからの寄付などを活用しトラックを借りたり、保護者や教員が運搬用に自家用車を提供して賄うなど負担が大きいことがわかりました。
そこで負担軽減について質したところ、教育委員会の答弁は「吹奏楽部にかかる保護者の負担軽減策の検討は必要と認識するものの、音楽教材に使途を限定した枠を設定することは現状では難しい」ということでした。
充実した学校生活のために
確かに、現状はゆとりのない額しか配分されていない学校運営費等に使途を限定することは難しいと考えますが、本市では「子どもを社会全体で支える」ことを総合計画に掲げています。保育事業や医療費助成など小学生以下の子どもへの支援に注力することは、子どもの人口が増加している本市としての当然の責務です。さらに大学生・高校生の子どもをもつ親の立場で言えば、子育てに経済的負担を感じる家庭は低所得層の方々だけでも、幼い子どもたちを抱える世代だけでもありません。子どもの成長に伴い、教育費や食費、成長著しい時期の衣服費、部活動の道具類や遠征費をはじめ、子どもなりの交際費など必然的に支出が上がる中学生以上の子どもたちを育てる家庭への支援も忘れてはなりません。そして、心が成長している年代の子どもの感情を考慮し、負い目などを軽減することについて、市に再考を促したいと考えたからこそ、義務教育である中学校現場での実情や課題をしっかり調査把握し、生徒たちや保護者が余計な心配や負担をせずとも充実した学校生活や部活動が楽しめる環境づくりの必要性を訴えたかったのです。
在学する中学生の86%が参加している部活動は、思春期の子どもたちの健全育成に大きな役割を果たしていること、やりがいや喜び、拠り所になっていることを理解し、市としての支援を今後も引き続き求めていきたいと考えています。